米国債入札に注目
ドル円相場は、自動車大手GMの破綻法適用申請で95円台半ばから94円台半ばまでクロス円と共に調整色が強まる展開で始まった。
安値圏の94円台半ばでは本邦輸入企業のドル買いで下げ渋り、その後は悪材料が出尽くしと捉える向きや米国経済指標の改善もあり96円台後半まで反発。
上値では輸出企業の売りが持ち込まれ、95円台半ばに再び振り落とされたが、機関投資家のクロス円買いに支えられ、更に欧州通貨の利食い売り、米雇用統計の改善によるドル買いも相まって99円手前まで上値を拡大する動きを見せた。
依然として米国債の信用不安は燻っている中、中国訪問中のガイトナー米財務長官は、米国と中国は米ドルが長期にわたり主要準備通貨の座を維持するという見解で一致している、と述べ、事態の鎮静化を図っていた。
一方で先週はロシアから米ドルの将来的な価値に対して疑問を投げかけるような言動がマーケットに発せられ、堅調な地合いを辿っていた米ドルの勢いを止め、反落させるきっかけを作った。
まずロシア大統領補佐官から、BRICs首脳会議にて新たな国際準備通貨に関する構想が討議される、との発言が伝えられ、さらにネドベーチェフ露大統領が米ドルの準備通貨としての地位を懸念している、ルーブルが世界的な準備通貨になる可能性もあると述べ、金融マーケットの不安定要素を拡大させる格好となった。
相場の不安定要素
発表された米国5月の雇用統計では失業率9.4%、非農業部門雇用者数はマイナス34.5 万人となり、景気に対する悲観的な見方は若干後退しているものの、前述の通り、相場の変動がファンダメンタルズに基づくものから各国の思惑に絡んで非常に不安定な状況に陥っていることが窺える。
日本・韓国・インドの金融当局者筋から、基軸通貨として米ドルを代替する通貨はない、との発言が一部で伝えられると、改めてドル・債券相場が反発するなど敏感に反応し、マーケットの米国債への評価が相場を動かし、不透明感を強めている要因となっている。
特に今週は10-11日に10年物、30年物国債の入札が予定されており、財政赤字拡大による需給悪化懸念がドルの上値を抑えることになり、反対に無事に消化された場合は、さらなるドルの反発を助長することが予想される。
原油価格を始め商品相場は順調に値を戻して景気底打ちへの期待は高まっているものの、ロシアのように金融マーケットを巻き込みながら、ドルからの資金シフトを狙う動きや、日米のように基軸通貨としてのドルを堅持する動きに左右される可能性が高く、明確なトレンドを形成するには、まだ時間が必要と考える。